
クラウドエンジニアの担当業務例
デジタル庁クラウドチーム
Cloud Engineer 加藤諒
はじめに
デジタル庁のガバメントクラウドチームの加藤です。今回は私が担当している業務の紹介やガバメントクラウドとは何かという点について、これまで個人的に経験した業務を通じてエンジニア向けに平易に説明します。
ガバメントクラウド
ガバメントクラウドを前提とした内容をお話しますので、技術的な内容はAWSやGoogle Cloudを中心としたクラウドサービスを利用した開発経験がある方を対象として説明します。
ガバメントクラウドはデジタル庁が官公庁および地方公共団体などに対して提供するクラウド環境です。国として主に技術的な観点からガバナンスを効かせる為にそのクラウドの標準機能を使ってガードレール構築を行っています。必要な場合はスクリプトを書いてより細かな制御も行っています。
ガードレールとは、クラウドのピュアな使用感や開発効率といったクラウドサービス本来の利点を重要視しつつ危険な操作はできないように、問題がありそうな操作が行われた時は通知が行われるようになっているような環境を構築して提供しているということを意味します。また、今までの慣習から開発効率を度外視して制限をかける方向に傾いていく傾向については、常に開発者のより良いアプリケーション開発の体験の向上とのバランスを意識してなるべく制限を少なく、もしくは直接的な制限の代わりになる方法を模索しています。
クラウドを使ってモダンなアーキテクチャを開発および運用できるエンジニアがただでさえ貴重な中、加えて公共系案件を担当してくれる方は非常に貴重だと感じています。そういう方が「ガバメントクラウドは活用にあたって非現実的な制約が多くてもう使いたくない」とは思わずに、「ガバメントクラウドは政府や自治体の利用という観点から制限はかかっているけれど、これぐらいのバランスなら納得だ」と思えると良いなと個人的に思っています。
そのような考えの元、ガバメントクラウドの開発やフラッグシップ・プロジェクトに従事してきましたので、ご紹介させていただきます。
ガバメントクラウド開発
現在、ガバメントクラウドにはAWSとGoogle Cloudが採用されています。私はAWSの方に比較的多く関わっていましたが、具体的な内容は以下のようなものです。
標準機能だけでは意図した設定ができない項目について、サーバーレスアーキテクチャでスクリプトを書いて任意の操作を実行する仕組み
全ての監査ログ(ソフトウェア内のデータは含まない)をまとめて長期的に保存しクエリを実行できる仕組み
ガバメントクラウド利用者に提供するIaCテンプレートの改修
フラグシッププロジェクト(VRSWebサイト開発)
ガバメントクラウド上で構築される一部のフラグシッププロジェクトについては、自分たちのチームでも直接開発を行っていました。プロジェクトを素早く立ち上げることを目的としていましたが、ガバメントクラウドをドッグフーディングできる(プロジェクトを通じてガバメントクラウドの環境を検証し、フィードバックをすることでより良い環境を作成可能)という意味でもとても役に立ちました。
私はVRS Webサイトの開発を行っていましたが、序盤はフロントエンド(Next.js・TypeScript)を、後半はクラウド(AWS)構築をメインに担当していました。SGとCSRで実現されており、SGするタイミングでクラウドのSDKを使ってオブジェクトストレージからデータを取得しデータを生成し、CSRはグラフの描画などに使っています。ログインの無いパブリックなサイトかつ恒久的に維持されるものでは無いので色々と割り切っている部分がありました。しかし、コロナ情勢が変わらず中々クローズできてないという状況の中、今後も接種回数が増えていくならリファクタリングが必要になるかもしれません。
その他の関連する作業
ガバメントクラウド上に構築されるプロジェクトに対してオブザーバー的な立ち位置でアーキテクチャに対する要望を伝えたり実装方法についてアドバイス
業務や検証に必要なサービスやドメインなどの調達
クラウドとオンプレミスの閉域網接続に関してサービスとして提供する
他に上記の様な業務も行っていました。
あとがき
ガバメントクラウドチームで私が実際に実施しててきたことの紹介記事を書かせて頂きました。デジタル庁ガバメントクラウドチームに興味がでた方はぜひ下記リンクのいずれかからご応募ください!
09_クラウドアーキテクト (ガバメントクラウド) - デジタル庁
10_クラウドエンジニア (ガバメントクラウド) - デジタル庁
12_クラウドネットワークエンジニア (ガバメントクラウド) - デジタル庁
13_フロントエンドエンジニア (ガバメントクラウド) - デジタル庁
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