
デジタル庁のクラウドチームで一緒に働くエンジニアを募集します
デジタル庁クラウドチーム
Head of Government Cloud 梅谷晃宏
クラウドチームの採用
デジタル庁では様々な職種についての募集を継続して行っています。4月からの新年度の開始に合わせてガバメントクラウドの整備事業に携わるクラウドチームでも採用を開始しましたので、今回は採用についてのお知らせになります。中央省庁や自治体におけるシステムで自分のクラウドのスキルを試したい、あるいはさらなるスキルアップや実務経験を積んでみたい、政府や自治体のシステムをクラウドのテクノロジーで変革したい等、動機は様々にあると思いますが、我こそはという方は是非積極的にご応募ください。皆様に興味をもっていただくために、クラウドチームやガバメントクラウド、またそれぞれの職種について説明しようと思いますが、その前にデジタル庁のクラウドチームで仕事をすることについて少し大きな視点からお話します。
ガバメントクラウドに携わる人材採用の方針
デジタル庁における人材の採用方針や方向性は、デジタル庁の新卒採用ページやデジタル庁の中途採用ページに書かれている内容にまとめられていますが、こうした内容に合わせて採用を実施していく予定です。例えば、デジタル庁の新卒採用ページの紹介内容を、エンジニア、テクノロジー、民間、クラウド、というクラウドチーム視点から端的にまとめるとするならば、「民間企業のスペシャリストのプラクティスをもって、慣行や前例にとらわれない意志で、国民のみなさまに便利で快適なサービスをご提供するために、デジタル技術をもって行政改革を実行する。なんのためのデジタル化なのか、国民のみなさまの目線や民間人材の目線から徹底的に考え、クラウドを中心としたテクノロジー面からビジョンや方向性を示す。」といった形になるかと思います。こうした点は、ガバメントクラウド・テックブログの第0回でもご紹介した下記の該当引用箇所のとおり、我々クラウドチームの大きな視点とも合致するものです。
テクノロジーありき、あるいはテクノロジーの実装そのものが目的ではなく、あくまでテクノロジーは目的達成の手段として捉えるということです。政府として国民の皆様に提供するサービスの目的達成のために、進展の速いテクノロジーの時流を的確に捉えながら、その都度、システム調達やシステム実装を常に改善し見直していくという、ごく当たり前の基本的な姿勢に改めて立ち返るという考え方が根底にあります。
クラウドチームで一緒に働いていただく皆様の採用に当たってのスキルや実務経験については募集要綱の記述のとおりですが、そうしたエンジニアとしてのスキルや実務能力はある前提で、こういった「大きな視点」にご賛同いただけるかどうか、チームの一員として一緒に行動していけるか、自立しながらも同じ目的達成のために行動してけるかどうか等、募集要綱に書きにくいニュアンスも重視しています。「慣行や前例にとらわれない意志」や「進展の速いテクノロジーの時流を的確に捉えながら、その都度、システム調達やシステム実装を常に改善し見直していく」ということを言うは易しですが、民間人材と政府職員、あるいはテクノロジーの専門家と行政に関する法令の専門家といった様々な形式で、異なる文化や知識をを持つ者同士が混在する環境では、大きな視点や目標を共有しながら相互補完的な努力ができないと様々な施策を実行し結果に繋げていくことが容易ではないということを実感してることが背景にあります。また、民間の業務と兼業しながら全くコンテキストの異なる政府内の業務を同時に遂行していくためには、民間とも政府職員とも異なるかなり自立した行動が求められることになるという我々の経験を踏まえたものです。
クラウドチームについて
デジタル庁ガバメンクラウドチームはガバメントクラウド全体の計画策定、整備事業に従事している組織になります。様々な経験やスキルを持った民間出身のエンジニア10数名と、政府のIT施策や調達制度等に専門的な見識をもつ官僚数名の官民混合チームです。エンジニアに関してはそれぞれフロントエンド、バックエンド、開発環境、全体のアーキテクチャ、運用管理、ガバナンス・セキュリティ等の強みや専門分野のスキルを相互補完的に活かしてテクノロジーにおける解決策を生み出しています。官僚の皆さんの制度面での知見をそうした統合されたテクノロジーの知見と合わせることで官民が一体となってガバメントクラウドの様々な取り組みが可能となっています。テクノロジー面では、様々なクラウドプラットフォームや各種クラウドサービスを使った開発、アーキテクチャ設計など、政府内でもかなり専門的で先進的な取り組みを自主的に遂行可能なチームです。一般的にいういわゆるスペシャリストチームという位置づけになるとおもいますが、チームメンバーは横断的にクラウドという観点で様々な施策にも関係しています。
ガバメントクラウドについて
ガバメントクラウドについてはデジタル庁創設時に公開したガバメントクラウドのページが公式なものとなっていますので、こちらにも引用します。
政府共通のクラウドサービスの利用環境です。クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、かつセキュアでコスト効率の高いシステムを構築可能とし、利用者にとって利便性の高いサービスをいち早く提供し改善していくことを目指します。地方公共団体でも同様の利点を享受できるよう検討を進めます。
ユーザー体験を向上させ、世の中の状況の変化に応じて情報システムを柔軟に変更できるような現代的なアプリケーション開発にとって、柔軟かつ迅速にITインフラを構築することは必須となります。アプリケーション開発者の要求に応じて自動で柔軟かつ迅速にインフラを用意できる環境を、最新のクラウド技術を最大限に活用して政府として共通に提供します。クラウドの最新技術を活用することで、クラウドサービスが提供する高いセキュリティと可用性、スケーラビリティを利用できます。同時に、ガバナンス機能とテンプレートを用いることで、政府全体としての管理レベルの向上、ベストプラクティスに基づく品質の底上げと標準化、セキュリティやネットワーク、運用監視などの検討省力化と設定自動化を支援します。テンプレートに基づき適切にマネージドサービスを利用し、構築と運用の自動化を実現することでインフラコストの削減が実現できます。また、ガバメントクラウドを利用することでインフラコストの可視化・透明化を実現し、コストの適切な評価ができるようにします。
今回のクラウドチームの募集職種について
今回は複数名のクラウドエンジニアと1名のクラウドアーキテクトについての募集を開始しました。現役のチームメンバーのエンジニアの視点から、募集要綱では書ききれなかった採用についてのニュアンスを皆さんにここでお伝えしようと思います。応募にあたっての参考にしていただければと思います。
クラウドアーキテクトについては、クラウド全体のアーキテクチャにかかわる、より抽象度が高い内容、あるいはガバメントクラウドにおけるインフラストラクチャ全体の管理をどのようにしていくか、アプリケーションのフロント部分とクラウドの構成、アーキテクチャ変更に伴う開発全体のプロセスの見直し等、かなり広範囲の業務にクラウドエンジニアと一緒に深く携わっていただくことになります。そのため、全体のアーキテクチャはもちろんのこと、サーバーレスやコンテナといった処理系に近いものから、データベース、IaC、セキュリティ、BCP、ガバナンス等の包括的な実務能力が必要です。同時に、関係各所と折衝したりチームとコミュニケーションを取って、事実やデータを元に円滑に課題を解決していく力も求められます。絵を描いたり説明したり管理したりするだけではなく、実際に自ら手を動かす実務能力と、クラウドを初めとした新しい技術の考え方を組織やアーキテクチャに適用した豊富な経験のある方を募集しています。
・クラウドエンジニア(ガバメントクラウド)
クラウドサービスをフルに有効活用するための、いわゆるクラウドネイティブな実装や運用に精通している方を募集しています。クラウド上での実装経験を生かし、IaCによるスケーラブルなセキュリティベースラインの構築やリファレンスとなるアーキテクチャの設計/実装、各システムの可観測性を向上させるための設計などクラウドを広く活用する上でベースとなる部分を担っていただく予定です。少なくとも1つ以上のクラウドサービス(CSP)について、そのサービスに関する幅広く深い知識と、要求を自らクラウド技術で解決するナレッジ、クラウドを使ったアーキテクティングの実務経験が求められます。新しい技術に積極的に取り組んでいく姿勢と既存のやり方に縛られずゼロベースで考えていける発想力と同時に、独りよがりにならず全体に合わせつつリードする力も必要です。クラウド上でIaCによるアーキテクチャ実装や運用経験がある方は是非ご応募下さい。
クラウドサービスをマネージドサービスを中心に有効に使いこなすノウハウや実装経験のある方、クラウドネイティブな実装を募集しています。政府情報システム等のクラウド移行について、デジタル庁が主導し、企画、整備、運用する政府情報システム等のクラウド移行を進めるプロジェクトメンバーの一員として、企画段階から関与し、体制構築、要件定義、設計・開発、テスト、移行、運用を通じた工程に参画していただきます。担当いただくプロジェクトの対象となるシステムは、各省庁共通システムや大規模情報システム等であり、以下のようなものが挙げられます。 (各省庁共通システム) ・人事・給与、旅費、利用者認証基盤など省庁共通の業務・システムの刷新 (大規模情報システム等) ・厚生労働行政など各行政分野の業務・サービス改革とシステム刷新等。大規模な政府のシステム移行や政府の業務プロセスに関連した知見をクラウドを起点として得たい、実務的に働いてみたいという方はぜひご応募ください。
クラウドにおけるネットワークのアーキテクティングや運用設計をリードする人材を募集します。クラウドの専用線接続や、インターネット接続におけるゼロトラスト、クラウドの仮想ネットワーク間接続、異なるクラウド間のネットワーク接続、これらを1,000を越える拠点とシステムで接続していくネットワークアーキテクチャを設計していく必要があります。普通に考えると膨大なアドレス変換やアクセス制御リストの運用になると思いますが、クラウドの最新技術を活用して、接続のアーキテクチャを最適化したり、可能な限り自動化し、運用負荷を下げコストを最適にし、かつ技術的統制も効かせていくことが求められます。クラウドネットワークをサービスとして定義し利用者に提供していく、サービスの企画と運用設計も必要です。クラウドネットワークの知見と豊富な経験があり、ガバメントクラウドの1つのサービスとして企画運用していくことに関心のある方は是非ご応募下さい。
脆弱性やペンテストといった個別の狭義のセキュリティプラクティスの観点よりも、全体像をとらえてリスクコントロールの視点からアーキテクチャ設計をする、ガバナンスに関わる構造を分析してアーキテクチャに反映するといったことを他のエンジニアのサポートを得ながら一緒に実装していくことが可能な方を募集しています。クラウドサービス利用時のポイントを押さえ、クラウドの最新セキュリティ技術を活用して、リスクコントロールだけに偏ることなくコストとのバランスがとれた最適な実装を実現することが求められます。クラウドのアーキテクチャ設計の経験はあるが、セキュリティ、コンプライアンス、リスクコントロール、ガバナンスについてもスキルや経験を追加して強化していきたいという方は、セキュリティの実務経験の深さを問いませんので是非積極的にご応募ください。
フラグシッププロジェクトでフロントエンドの開発を行って頂きます。デザインそのものについてはは別途デザイナーが担当し協業していただくことになりますが、フロントエンドのソフトウェア設計や使用するライブラリの選定や構築をはじめとし、バックエンドのAPI作成などとの効率的な連携や、クラウドと連携したCI/CDを活用したフロントエンドの効率的な開発と運用等、UIだけではなくバックエンド・クラウドまでを統合した全体のUXの向上、ということにも対応可能な方を募集しています。もちろんクラウドアーキテクチャーに特化した同じチームのメンバーがいますので、サポートを得たり、一緒に取り組んでいくことになります。いま採用されている技術スタックは主に以下のようなものです。
TypeScript, React(Next.js), TailwindCSS
皆様の積極的なご応募をお待ちしています!
デジタル庁クラウドチーム一同